第19回大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival 2024

第19回大阪アジアン映画祭 授賞結果

グランプリ(最優秀作品賞)

授賞理由

青春映画というジャンルの枠組みでグランプリを受賞した本作は、私たちが見たことのない世界を照らし出し、スピリチュアリティや世代間の対立といった問題を、巧みさと自信に満ちた手腕で描き出す。この映画は、主人公の成⾧を繊細に描きつつ、啓示的な演技を中心に据えている。

受賞者コメント

ラグワドォラム・プレブオチル監督
私にとって初来日ですが、これを最後にはしません! 大阪アジアン映画祭の皆さん の素晴らしいホスピタリティと温かさに感謝します。『シティ・オブ・ウインド』を選んでくださり、グランプリまで授与いただいて、恐縮すると共に、大変光栄に思います。もっと頑張って、もっと大きな夢を見たいと思います。次回作を携えてまた日本に戻り、日本の観客にモンゴルの美しさと複雑さを伝え続けたいと思います。

来るべき才能賞

リエン・ジエンホン

LIEN Chien Hung [練建宏]

授賞理由

リエン・ジエンホン監督は、予想だにしなかった展開とひねりを加えつつも、過去の偉大なキャラクター主導型コメディを彷彿とさせる素晴らしい創作力を発揮した。思い出の場所や人物を散りばめた卓越した脚本で、心からの感動と大爆笑コメディを両立させるテクニックを披露したリエン監督の次回作を大いに期待する。

受賞者コメント

皆さん、本当にありがとうございます。『サリー』を審査委員の皆さまが評価してくださったのは、心から嬉しいことです。

ABCテレビ賞

Salli | 第19回大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival 2024

授賞理由

とてもほっこりした気持ちにさせる映画です。パリへと渡る主人公の葛藤もうまく描けていますし、家族や友人との触れ合いも温かく、読後感が大変良いです。なにより、ニワトリが可愛い!

受賞者コメント

リエン・ジエンホン監督
本当にありがとうございます。大阪で『サリー』を上映していただいたことは大変光栄でした。この作品は4月に台湾で公開されますので、またぜひ台湾まで映画を観に来てください。

薬師真珠賞

チー・ユン
CHI Yun [池韵]

Unborn Soul | 第19回大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival 2024

授賞理由

チー・ユン(池韵)という俳優が存在したからこそ『未来の魂』は生み出された。そして彼女の繊細で深みのある演技が、観客の魂を最初から最後まで揺さぶりつづけた。

受賞者コメント

この映画を通じて、皆さんが障がいのある方をより温かい目で見守り、生きていくことを考えていただけるのではないかと思います。本当に映画を通じてそのような方への愛を伝えることができれば幸いです。

JAPAN CUTS Award

Performing KAORU's Funeral | 第19回大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival 2024

授賞理由

『カオルの葬式』はある家族の葬儀の場で起きる赤裸々な感情のぶつかりを見事に捉えたホームドラマである。タガの外れた演技の完璧な掛け合いが、パーカッションのリズムが心地よいサウンドトラックと勢いのいい編集と相まって、家族の機能不全を面白くも切なく描いたダークコメディに仕上がっている。

受賞者コメント

湯浅典子監督
いわゆる普通の分かりやすい映画ではないと自負しているこの作品を選んでいただき、大阪で賞をいただけたことに心より感謝しております。日本、スペイン、シンガポールの合作ですが、数え切れないほどの方に数年に渡りお力添えをいただき、フルキャストオーディションで決まったキャストの皆さんに、コロナの間、待っていただきながら6年がかりで作りました。ありがとうございました。


スペシャル・メンション

第19回大阪アジアン映画祭「ブルー・イマジン」Osaka Asian Film Festival 2024 Blue Imagine

授賞理由

松林麗の力強くて誠実な初監督作である『ブルーイマジン』は私たちが生きる現在の証であり、そのメッセージにおいて緊急性を、そのアプローチにおいて癒しを感じさせる。現代文化に蔓延るセクハラや虐待に大胆に立ち向かう一方で、団結のレジリエンス(回復力)を指し示している。

受賞者コメント

松林麗監督
JAPAN CUTS Award スペシャル・メンションを頂き、有難う御座います。驚いています。
映画は勿論、1人の力では、到底創れません。関わってくださったスタッフの皆さま、キャストの皆さま、そして選定くださった大阪アジアン映画祭の皆さまに改めて感謝申し上げます。
『ブルーイマジン』は、弱い立場に置かれた人々が手と手を取り合って、互いの傷みを共有し、同じ立場に立って語られた事を聞き、承認し合える場所です。
今までの自分は間違いじゃないと、承認してくれる場所がある。それはきっと社会を変えていく力になると願っています。
ブルーイマジンの輪が広がりますように。

芳泉短編賞

シャングリラに逗留
Sojourn to Shangri-la [是日訪古]

Sojourn To Shangrila | 第19回大阪アジアン映画祭 Osaka Asian Film Festival 2024

授賞理由

強烈なイメージの魅力で観客の心を掴んで離さない物語は、一連のマジカルな展開に続く導火線に火をつけ、特に驚くほどパワフルな後半で映画的衝撃をもたらす。『シャングリラに逗留』は見る者すべてに驚きを与え、それは監督の映画的試みの成功と言える。

受賞者コメント

リン・イーハン監督
この映画を通して、またこの映画が引き合わせてくれたすべての出会いや仲間にお礼を言いたいです。クルーのみんな、ありがとう。この映画のために尽くしてくださり、この映画を評価してくださった大阪アジアン映画祭の皆さん、ありがとうございます。私の映画が日本で上映されるのは初めてのことで、その現場に立ち会うことができず、観客の皆さんと直接お話しすることができなかったのはとても残念でした。しかし、私たちの魂をひとつにし、国境や言葉なしにコミュニケーションをとることができるのは、映画の力だと信じています。この栄誉を大切にし、これからも多くの作品を皆さんにお届けしたいと思います。ビッグ・ハグ!


スペシャル・メンション

授賞理由

結婚と人間関係をテーマに真摯に向き合った本作で、ヘソ監督は力強い演出力と緻密に計算されたテクニックで完成度の高い作品に仕上げ、確固たる才能を印象付けた。

受賞者コメント

ヘソ監督
普段はCMディレクターをしており、今回は初めて映画業界に関わる機会でしたが、大阪アジアン映画祭の方々、ご一緒したフィルムメーカーの方々も本当にいい方ばかりでした。上映作品に選んでいただけただけでも光栄なのに、僕を信じてくれたキャストやスタッフ、関わってくれたみんなにお土産ができて、すごくうれしいです。ありがとうございました。


スペシャル・メンション

授賞理由

子供であること、大人であること、そして女性であることについての重要な物語を、映画制作の高い能力をもって表現した。アブドゥリカリム監督自身のコミュニティに対する貴重な洞察であり、家父⾧制文化に抑圧される女性たちへのリアリズムに基づいた観察でもある。

受賞者コメント

ファティマ・アブドゥルカリム監督
大阪アジアン映画祭の皆さま、『スウィート・ライム』をお招きくださり、本当にありがとうございました。ここでの経験はとても温かく、すばらしいものでした。この小さな映画を評価してくださった審査委員の方々にも感謝申しあげます。今までドキュメンタリーを何本も撮ってきましたが、劇映画は本作が初めてです。制作にあたり、関係する方々はもちろんのこと、ここにも一緒に来ているプロデューサーのソフィア・セックからは特に多くのことを学びました。皆さま、ありがとうございました。

観客賞

受賞者コメント

中村和宏監督
企画から6年ぐらいかけ、先日(3月5日)、大阪アジアン映画祭の場で皆さんにお届けすることができ、嬉しい思いでいっぱいです。観客賞までいただき、感謝しかありません。スタッフ、キャストに恵まれ、みんなで取れた賞だと思います。ありがとうございます。