第20回大阪アジアン映画祭 授賞結果
グランプリ(最優秀作品賞)
バウンド・イン・ヘブン
Bound in Heaven

授賞理由
映画が描く(映す)テーマが多様化する中で、特に「映画祭」では選ばれにくい、最も古典的な”恋愛映画”の本作に迸る熱度と強度に衝撃をうけました。主演二人がたどる「運命」は映画を目にする私たちを疑いもなくその物語に没入させ、映画的歓びを共有させてくれるその世界に魅了されました。
来るべき才能賞
パク・イウン
PARK Ri-woong
「朝の海、カモメは」監督

授賞理由
パク・イウン監督の人間の善良さを見抜く能力と、社会が抱える問題を詳らかにする鋭い注意力は来るべき才能賞に値する。
スペシャル・メンション
私たちの話し方
The Way We Talk

授賞理由
『私たちの話し方』のアダム・ウォン監督と彼のクルーの深い優しさと、先入観のない公平な視点が本作を珠玉の作品にした。聴覚障害者の内なる世界に観客を心深く没入させる作品である。
最優秀俳優賞
トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン
『サイレント・シティ・ドライバー』
主演
Tuvshinbayar AMARTUVSHIN

授賞理由
アマルトゥブシンは静謐で、決して不快でない男らしさを体現し、それは映画の領域に深く共鳴した。彼の内なる感情を伝える卓越した演技力は、静穏だが暗晦な世界に生きる主人公の複雑な孤独を的確に捉えた。
JAIHO賞
君と僕の5分
404 Still Remain

授賞理由
テンポよく展開するストーリー、主人公2人の瑞々しい演技。彼らがバスの車窓から眺める四季折々の風景が、音楽と絡み合い美しい余韻を残す。そして少年は大人になる。“ボーイ・ミーツ・ボーイ”映画の傑作。
薬師真珠賞
カオ・イーリン 高伊玲
ラン・ウェイホア 藍葦華
ツェン・ジンホア 曾敬驊
ホアン・ペイチー 黃珮琪
「我が家の事」出演

授賞理由
「我が家の事」の主人公家族を演じた4人の俳優たち、カオ・イーリン、ラン・ウェイホア、ツェン・ジンホア、ホアン・ペイチーに授与する。家族それぞれがかかえる複雑な心情を見事なアンサンブルで演じ、新人監督による偉大な傑作の誕生に貢献した。
JAPAN CUTS Award
素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる
So Beautiful, Wonderful and Lovely

授賞理由
多彩な編集と撮影手法、不条理なユーモアとハートフルなストーリーテリングが矢継ぎ早に繰り広げられる、大河原恵監督の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』にJAPAN CUTS AWARDに授与する。脚本・監督・編集・主演を務めた大河原は、真の若いエネルギーに溢れ、短い上映時間の中に創造的なアイデアと野心を詰め込み、かつ筋の通った作品を完成させた。
芳泉短編賞
洗浄
WAShhh

授賞理由
まるでリアルタイムで起きている出来事のように、限られた空間と時間の中で観客を巧みに没入させ、少女たちの状況の追体験を可能にする。モノクロームの画がセンセーショナリズムに陥らない緊迫感を作品にもたらす。リアリズムとシンボリズムの両方を兼ね備え、制度の不条理を痛烈に批判し、タブーに挑んでいる。
スペシャル・メンション
金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱
The Melancholy of a Brass Player for Brass Quintet

授賞理由
元気が湧いてくる作品(アダム・ウォン)
編集、音響デザイン、テンポ ー すべてにおいて類のない作品。何が何だか分からないのに、完全に筋が通っている。(ジョン・スー)
まるでサイレント映画のようなアナーキーさを湛えている(木下千花)
観客賞
蔵のある街
The Tales of Kurashiki
